CASE STUDY

公開日:2026年7月

三井住友カード株式会社

「AIを導入した」ではなく、「AIに任せられる」へ。三井住友カードが描く次世代コンタクトセンター
~お客さまにも、オペレーターにも自然に馴染む“空気のような存在”を目指して~

「すごいAI」ではなく、「任せられるAI」へ。三井住友カード株式会社では、自律型AIオペレーター「X-Ghost(クロスゴースト)」を活用し、月間50万件を超えるお問い合わせに対する安定した応答体制の構築を進めています。本記事では、導入の決め手となった自然な対話品質や安全性・安定性への評価、そして顧客にもオペレーターにも自然に馴染む“空気のような存在”を目指した取り組みについて伺いました。

三井住友カード株式会社

三井住友カード株式会社

業種
金融・クレジットカード
企業規模
5,000人以上
エリア
首都圏
導入サービス
X-Ghost
(自律型AIオペレーター)
活用シーン
コンタクトセンターの照会対応(不審メール対応/カード利用不可問い合わせ)
導入前の課題
月間50万件のお問い合わせと、安定した応答体制をどう実現するか
導入の効果
AIオペレーターの待ち時間ゼロの実現と、安定した応答体制の構築を目指す

INTERVIEWEE

  • 三井住友カード株式会社
    オペレーションサービス本部 AIイノベーションデザイン部 トライブリード

    大保 友実 様

  • 三井住友カード株式会社
    東京コンタクトセンター グループ長

    千葉 理絵 様

01.導入背景・課題
月間50万件のお問い合わせ。安定した応答体制をどう実現するか

Q.

はじめに三井住友カードのコンタクトセンターの役割と、AI導入を検討された背景を教えてください。

大保氏: 三井住友カードのコンタクトセンターには、カードのご利用に関する内容をはじめ、月間約50万件を超えるお電話でのお問い合わせをいただいており、その窓口を担うのがコンタクトセンターの役割です。
AI導入の検討を始めた際に、最重要課題として挙げていたのは、「規模の大きなお問い合わせに対して、安定した応答体制をどう維持・構築していくか」という点でした。

千葉氏: やはりコンタクトセンターでは、人がシフトを組んで対応するため、お電話でお問い合わせいただく時間帯と数によっては、対応できるオペレーターの人数にばらつきがあり、応答率が「ある一定の時間帯」は下がってしまうといった課題がありました。

02.導入の決め手と、導入プロセス・体制
リアルな現場で、自然に「話せる・対応できる・馴染む」音声デモ

Q.

その中でGen-AXが提供する自律型AIオペレーター「X-Ghost(クロスゴースト)」に対しての印象はどのようなものでしたか。

大保氏:AIが人間と会話することはある程度想像できても、それを実際のコンタクトセンターの現場でお客さまに対して提供し、成立するのかというのが最初は正直なところ現実感がありませんでした。しかし、「X-Ghost」のデモンストレーションを初めて聞いた時に、これならもう遠い未来の話ではなくて、すぐに実現できるのではと思い、そこから一気に話が進みました。

千葉氏:日々、コンタクトセンターの現場にいる私も、「X-Ghost」のデモを初めて聞いた時に、的確な質問が設定されていて、お客さまのニーズを聞き出すスクリプトになっていたことに驚きました。自然な会話の流れで、無理なく分かりやすいトークだったことが印象に残っています。

Q.

コンタクトセンターへのAI導入となると、複数の部門との調整、社内決裁など多くのハードルを想像しますが、どのように進めていかれたのでしょうか。

大保氏:基本的に私のチームで導入を担当していました。社内の決裁は多かったですが、「X-Ghost」のデモ音声を流すことから説明を始めていくと、どの部門も理解を得るのが早かったです。技術のアーキテクチャも、もちろん重要ですが、生成AIやAIエージェントを細かく説明することよりも、的確な音声デモがあったからこそ、経営層からも現場からも力強い支援をいただけたのだと思います。

三井住友カード株式会社:オペレーションサービス本部 AIイノベーションデザイン部 トライブリード:大保 友実 様

03.実運用での評価
顧客・開発者が考える「AI時代の、顧客体験」を徹底的に突き詰めた

Q.

社内決裁通過後、実運用までの道のりと、その中で印象に残っていることはどのようなことでしょうか。

大保氏:音声入力をリアルタイムで音声応答へ変換する Speech to Speech技術による、なめらかな会話体験はもちろんですが、特に印象的だったのは、本番開発に入ってからの議論です。PoCからいざ本番環境での開発に入りましょう!となった場面で、「X-Ghost」のAIエンジニアの方も含めて、三井住友カードのコンタクトセンターで実現したい「顧客体験」を密にディスカッションする場を設けて、実装まで取り組んでいきました。双方の会社が同じ視点で議論し、スクリプトを組んで、音源を出して、それを何度も繰り返して磨き上げていきました。

千葉氏:私たち現場が関わったのは、ある程度の品質のものが出来上がったタイミングで、会話の間や相づち、返答のタイミングといった現場目線での要望をお伝えしました。実際に本番リリースするまで期間が短かったですが、すべて改善されていて、そのスピード感と開発に携わった皆さまの努力の成果を感じました。

導入本命の「カードが使えない際のお問い合わせを受ける」シナリオの前に、安全性と安定性を確認

Q.

2025年12月の第1弾・本番導入では「不審な通知に関するお問い合わせ」から実装いただき、その後「カードが使えない際のお問い合わせを受ける」シナリオまで拡張いただきました。その背景や狙いはどのようなものでしたか。

大保氏:「X-Ghost」で対応したい本命の問い合わせ内容は、第2弾で拡張した「カードが使えない際のお問い合わせを受ける」シナリオでした。この問い合わせ内容は、入電数全体の10%強を占める最も多い問い合わせ内容です。ただこの問い合わせは、顧客情報との接続も入ってきます。そのため、まずは「不審な通知に関するお問い合わせ」から実装し、初動の安全性と安定性を確認した上で、第2弾として2026年2月に「カードが使えない際のお問い合わせを受ける」まで拡張しました。

千葉氏:まだAIオペレーターが一般的ではないタイミングで、AIオペレーターに対するお客さまからのお申し出に備えて想定問答を準備していたのですが、意外にもほとんどそうしたお申し出はなかったです。AIオペレーターから有人オペレーターに転送された際も、問題なくスムーズに対応できましたし、有人オペレーターからの問題提起といったこともなかったです。AIオペレーターが対応した内容の履歴は日々全てモニタリングしていますが、追随フォローをしているものも、日に数件あるかないかくらいです。いい意味で「空気のような存在」として、お客さまにも有人オペレーターにも馴染んでいるのが現状といったところだと思います。

三井住友カード株式会社:東京コンタクトセンター グループ長:千葉 理絵 様

04.導入効果・変化
問い合わせ全体で10%強を占める、「カードが使えない際のお問い合わせを受ける」のAIオペレーター、待ち時間はゼロへ

Q.

本番導入後、どういった変化がありましたか。

大保氏:待ち時間については、AIオペレーターでは待ち時間がゼロになりました。ここはもう明確に安定した応答体制につながっていると思います。また弊社は独自で「AIオペレーターのみの完結率」というKPIを設けていますが、現在も改善を継続しており、目標水準の達成が見えてきています。第2弾で拡張した全体の10%強を占める「カードが使えない際のお問い合わせ」に関しては、半分くらいはAIオペレーターへ最初の入電をしていただけるようになっているので、非常に多くのお客さまにAIオペレーターを使っていただいていると思います。

千葉氏:AIオペレーターへの問い合わせ先は、弊社のホームページに専用の電話番号を記載するとともに、2026年4月にチャットボットでも誘導することをはじめました。第2弾で拡張した「カードが使えない際のお問い合わせ」に関しては、月数千件ほど、チャットボットの誘導による有人オペレーターへの入電数が減り、その分、弊社のホームページに専用の電話番号への入電数と併せて、AIオペレーターが対応しています。
想像以上の効果に現場では驚いていますし、効果の高さを実感しています。

05.今後の展望
「AIでSMaiCC(スマイル)」×「人間はスーパーオペレーターの確立」この両輪を目指していく

Q.

最後に、今後の展望を教えてください。

大保氏:コンタクトセンターは今も、未来も「〇〇についての、問い合わせ・困りごとを解決したい」というお客さまの気持ちに応えることがミッションだと思っています。
実は、心に残っているエピソードがありまして、「X-Ghost」の開発を進めている最中に、「X-Ghost」のAIエンジニアの方も含めて、弊社オフィスにお越しいただいて、この開発に際してのプロジェクト名を考えました。そのプロジェクト名とは、SMCC×AIで、「SMaiCC(スマイル)」という名前です。由来は顧客体験を考えた時に、お客さまを笑顔にしよう!といったところですが、コンタクトセンターで働いている方も皆、笑顔になったらいいなと思っています。2028年度末にはコンタクトセンターへのお問い合わせの過半をAIオペレーターが対応することを目指していますが、1つ1つの応対で皆が笑顔(SMaiCC(スマイル))になれるように、今後もAIオペレーターの対応拡張を行っていきます。

千葉氏:AIオペレーターで問い合わせの多くを支えてくれるようになる現実を見て、我々センター側も改めて人間の役割を見直すきっかけになりました。今は、「スーパーオペレーター」という、
・AIでは対応できない複雑な要件への対応に対する知識をつけることや、
・問い合わせにお応えするだけではなく、お客さまにとって必要な提案を適切な形で行える
といった人財育成をはじめています。コンタクトセンターはお客さまの声が一番多く集まる場所でもありますので、お客さまの満足度はもちろん、事業にも貢献できるセンター構築をしていきたいと思っています。

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